7シリーズ(E65)のパーキングブレーキ修理についてご紹介します。

入庫したE65の症状としては、パーキングブレーキが全く効かない状態でパーキングブレーキ不良の警告が出てしまっていました。

このE65という車両はパーキングブレーキレバー(サイドレバー)やパーキングブレーキペダルは無く、Pボタンを押すことでパーキングブレーキが掛かり、もう一度Pボタンを押すことで解除されるという電動パーキングブレーキなるハイテクな仕組みを持っています。

最近では日本車を含む多くの車がこのシステムを採用するようになってきました。

現行のBMWは更に進化を遂げ、電子制御で稼動するパーキングブレーキモーターでスタビリティコントロール(ブレーキを自動制御して車が横滑りしないよう制御するものですね)も込みで制御してたりします。

いやはや時代の移り変わりと共に、ハンドル、アクセル、ブレーキときてパーキングブレーキまでもワイヤーレスになっているんですねー。

不良警告の原因を調べてみると、パーキングブレーキモーターで引っ張るはずのワイヤーが見事なまでに切れていました。

え?ワイヤーレスなのに何故ワイヤーが切れてたのかですか?(と、誰か突っ込みそうなので補足を・・・)

ここで言うワイヤーレスというのは、手元の操作器具(ハンドルやペダル、レバーといったもの)にワイヤーが繋がってない事を指し、

物理的なワイヤーから電気信号でモーターを動かすシステムに変わったんですね。

(あまりメカに詳しくない方のために一応補足入れましたが・・・メカに詳しい人には蛇足かも知れませんね)

こいつがパーキングブレーキモーター(所謂アクチュエーターの1つ)で、ワイヤーをここで引っ張ってます。

E65_pb

これが切れてしまったワイヤーですね。

E65_pb2

そして、ワイヤーで引っ張ってた相手はこの後輪ブレーキです。

(パーキングブレーキですからね)

E65_pb3

この車両は車検でお預かりしたのですが、車検ではパーキングブレーキ検査もあります。

パーキングブレーキ検査の合格基準は、車両重量に対する制動力の総和が20%以上とされています。

仮に1500キロの重さの車両だと、左右のサイドブレーキの制動力合計は300キロ以上でなければなりません。

車検では他にも様々な検査がありますが、車検時に合格基準をクリア出来たからといって安心は出来ません。

車を含む全ての製品の品質管理の世界では、故障について時間軸で大きく3つに分類されています。

最初にあたるのが”初期不良”期間で、これは俗に言う当たり外れによる故障ですね。

そして、一定期間を過ぎてからが”偶発故障”期間となり、使用状況や環境によって偶発的に起こる故障です。

そして最後に来るのが”磨耗故障”期間という、製品寿命による故障になります。

自動車は人の命を扱う製品であるため、品質管理基準が厳しいため命に関わるような初期不良は出にくく、製品寿命も長く設定されています。

磨耗故障については、車検における点検で消耗品を交換することで予防はできます。

しかし、どのような製品においても防ぎようがないのが偶発故障であり、この偶発故障は車検をクリアしたから100%予防できるとは言い切れない代物で、2年という長期スパンで考えると尚更困難を極めます。

しかし、日頃のメンテナンス・点検を心がけることで、偶発故障による大事に至る前にある程度対処することは可能です。

なぜなら、偶発故障に至る前に車(BMW)は何かしらのサインを出しているからです。

それは見た目で判断できる警告灯かも知れませんし、異音やバタつきといった感覚的なものかも知れません。

安全で快適な楽しいドライブを提供してくれる愛車(BMW)の声に、日頃から耳を傾けてあげることが大切ということですね。

もし愛車(BMW)の健康状態で気になることがありましたら、元BMW正規ディーラーメカニックが多数在籍するつたえファクトリーに是非ご相談下さい!!